レナウン倒産!倒産の兆しを決算書で調べてみました。
~レナウンの倒産は決算書で予言されていた!?~
- あいさつ
- レナウン倒産の理由とは
- ①直接の原因は取引先からの資金回収ができなくなったこと
- ②直近2年間は赤字だった
- ③5年前と比較して売上高は16%減少
- ④営業CFがマイナスに転じる
- ⑤10か月で現預金残高は半減
- ⑥直近5年の株価は2017年9月をピークに半減
- ⑦いつしか中国企業傘下に
- ⑧資金繰りの問題は中国企業との間で起きた
- ⑨倒産のアラートはバッチリ記載されていた
- 最後に
あいさつ
こんにちはロンキー久保と申します。
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レナウン倒産の理由とは
2020年5月15日、レナウンが民事再生法適用を申請したと報道されました。
翌日の日経新聞朝刊では1面トップの扱いとなりました。
レナウンといえばアパレル業界の老舗。かつては日本一、世界的にも最大級のアパレルメーカーとして名を馳せました。
なぜレナウンは倒産するに至ったのか?
その理由を決算書から読み解いて行きましょう。
①直接の原因は取引先からの資金回収ができなくなったこと
公式のプレスリリースでは、売掛金の回収ができず、債務の支払いが出来なくなったからと説明されています。
親会社である山東如意科技集団有限公司の子会社である恒成国際発展有限公司に対する 2019 年 12 月期中に支払期日の到来する売掛金の回収が滞ったことにより、・・・
当社は資金の調達および売掛金の回収に注力いたしましたが実現せず、5 月中旬以降に到来する債務の支払の目処が立たない事態となったことから、今般やむなく民事再生手続開始決定を受けることになりました。
「民事再生手続開始等に関するお知らせ」
一言でいうと資金繰りの問題で倒産したということになります。
なんで資金繰りの問題が生じたの?親会社って中国企業なの?その子会社からの資金回収ができなかったってなんか怪しくない?
そんな疑問に答えるために決算書を深読みしていきましょう。
②直近2年間は赤字だった
直近2年間は営業利益、経常利益、当期純利益ともすべて赤字となっています。
5年分を見ても利益はほとんどなく、業績低迷していることがわかります。
資金繰りの問題以前に業績も落ち込んでいたということがわかります。
③5年前と比較して売上高は16%減少
5年分の売上高を見てみましょう。損益のグラフと同じ形となっており、業績の低迷は売上高の減少に起因していることがわかります。
④営業CFがマイナスに転じる
キャッシュフローを見ていきましょう。
営業キャッシュフローは売上減少と債権が回収できなかったためマイナスとなりました。
投資キャッシュフローはプラスとなりました。これは資金確保のために千葉の不動産を23億円で売却したためです。
財務キャッシュフローはマイナスとなりました。資金不足に対し、調達したかったはずですが融資がなされませんでした。
⑤10か月で現預金残高は半減
続いて現預金残高です。現預金残高は10か月で半減以上と急激に減少しました。
また、1年以内に返済する必要のある流動負債についてはほとんど増減がありませんでした。
この段階でかなり資金繰りの問題が表面化していたことがわかります。
⑥直近5年の株価は2017年9月をピークに半減
株価はどのように反応していたのでしょうか?
ここ5年間のピークは2017年9月の222円でした。
倒産報道前に2019年12月期決算発表を受け急落していました。
なお、上場廃止が決定しています。
⑦いつしか中国企業傘下に
純粋な日本企業と思っていた方が多いのではないでしょうか。
実は中国企業が2010年、経営不振の中、レナウン株式を53%取得し、子会社化しています。
取締役会のメンバーの半数以上は親会社の決定で選出された人物であり、日中混合チームで経営意思決定を行ってきたのでした。
⑧資金繰りの問題は中国企業との間で起きた
さて、今回の資金繰りの問題はその中国親会社の子会社(兄弟会社)との間で起こった問題でした。レナウンが兄弟会社に原料を供給したもののその代金を回収できなかったということです。
穿った見方をすれば、親会社において日本企業と中国企業のどちらを生かすか?という議論が行われたものと想像します。
取締役10名のうち半数以上は中国企業から受け入れていますので親会社の意向がレナウンに反映されるという構図の中で起こったのではないでしょうか。関係者にしか分かりえない話なので想像にすぎませんが。
⑨倒産のアラートはバッチリ記載されていた
決算書には「継続企業の前提」といって、事業を継続できるかどうか怪しい事態には記載される項目があります。今回の決算書ではその情報はきちんと記載されていたのでした。
当社グループは2期連続で営業損失を計上しており、当連結会計年度においては7,999百万円の営業損失を計上しております。また、当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローが△4,567百万円となっております。なお、当連結会計年度の販売費及び一般管理費に計上した貸倒引当金繰入額5,779百万円には、当社の親会社である山東如意科技集団有限公司の子会社である恒成国際発展有限公司に対する売掛金の回収が滞ったことにより計上した貸倒引当金繰入額5,324百万円が含まれており、当社グループの資金繰り計画に重要な影響を及ぼしております。
さらに、当社グループは2期連続で経常損失を計上しており、その結果、一部の金融機関と締結している借入契約(2019年12月31日現在借入残高585百万円)について財務制限条項に抵触しております。2020年2月末以降の新型コロナウィルスの感染拡大が販売に影響を及ぼす中、当該財務制限条項への抵触による資金繰りに与える影響が増しております。
当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。
最後に
いかがでしたでしょうか。
レナウンの倒産理由についてニュース以上の情報は得られましたでしょうか。
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対象会社:株式会社レナウン
業種:アパレルメーカー
事業内容:衣服等繊維関連事業
データソース:有価証券報告書、プレスリリース
テーマ:倒産企業の兆候、継続企業の前提